本の紹介
M&Aが日本企業にとって身近な選択肢となってから久しい一方、その発展の歩みを体系的に捉える機会は限られていました。本書は、1985年から蓄積されてきた株式会社レコフデータ12万件超のM&Aデータをもとに、日本のM&A市場40年の変遷を視覚的に、かつ時代ごとに丁寧にひもとくものです。
黎明期からバブル期、金融再編、グローバル化、事業承継M&Aの台頭、そして近年の多様なドライバーに至るまで、定量的データと専門的知見を通じて、日本のM&Aを「歴史」として読み解く視点を提供します。
目次
第1章 M&A史を読み解く4つの時代
- 4つの時代区分
- 1990年まで
- 1991年から1998年まで
- 1999年から2008年まで
- 2009年以降
第2章 M&A黎明期からバブル期:1990年まで
- 日本初のM&Aチーム誕生
- 「大店法」成立がM&Aの追い風に
- 「M&Aは証券業務」、大蔵省が認知
- バブルと海外大型買収
第3章 古い秩序の崩壊:1991年~1998年
- リストラ型M&A増加、金融大再編の予兆も
- 「日本版金融ビッグバン」構想打ち出す
- 大恐慌の1997年と「山一ドミノM&A」
第4章 新しい枠組みの構築:1999年~2008年
- 3行統合による「みずほグループ」誕生
- 都市銀行の再編 13行から4グループへ集約
- 損保業界の再編と生保業界での外資によるM&A
- 持株会社の解禁など、M&A関連の法整備が急速に進む
- 「官」による産業再生M&Aが活発化
- 敵対的M&A登場
- 政府、買収防衛策指針を発表(企業価値研究会)
- 経営陣が事業買収、MBOも活発化
- 2004年、M&A2,000件超
- リーマン・ショック、M&Aも“冬の時代”へ
第5章 M&A推進要因の多様化:2009年以降
- ガバナンス改革の進展
- 「企業買収における行動指針」公表
- 物言う株主(アクティビスト)の動向
- IN-OUT案件の大型化
- 海外M&Aの失敗と経済産業省の「海外M&A研究会」
- ポートフォリオ組み換え、グローバルベースで進展
- 事業承継M&Aの急拡大
- 事業承継M&Aの課題対応
- コロナ禍によるM&Aへの影響
- ベンチャー投資の拡大
- PEファンドのプレゼンス増大
巻末資料
- レコフデータの沿革
- データの見方
- 大型案件トップ20
日本M&Aの軌跡を彩る、象徴的事件と制度のクロニクル──豊富なコラムでM&Aの歴史をさらに理解!
- Column 手数料計算方式の始まり
- Column M&Aデータの始まり、MARR(マール)創刊
- Column ニッポン放送買収劇
- Column 対日投資促進施策の歩みと変遷
- Column NTTとJT〜1985年の民営化によって発足した両者のM&A
- Column ニデック〜M&Aでモーターから工作機械へ事業領域を拡大
- Column 日立製作所の事業構造改革
- Column ソフトバンクグループ〜「進化と増殖」に向けたM&A
- Column 事業承継の仲介と上場企業のFA(利益相反)